標  し 

 
  瑕一つない真新しい大理石が
  冷たく光を反射する

  語り掛けようとも
  涙を零そうとも
  ただ冷たく

  私の手向けた花が
  無残に朽ちようとも
  あなたはただそこにあるのみ

  現とは何と哀しきこと
  夢の中であなたは
  時に笑い、時に哀しみ、時に語り
  そして時には無表情に
  私の心を巡るのに

  現のあなたは
  硬い微笑を頬に刻んだまま
  まぶしい太陽に目を細めることもなく
  ただ光を反射させて冷たくそこにあるのみ

  無表情に輝く美しいあなたの微笑の傍らで
  わたしはただ一人
  移ろいゆく現で果てるのを待つのみ



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