雲居
翳んだ視界に初めて映ったのは、青灰色の瞳。
澄みきった泉を思わせる、美しい瞳。
そして次に目に入ったのは、天使の様に美しく、残酷な微笑み。
なぜ、目覚めてしまったのだろう。
なぜ、戻ってきてしまったのか、苦しみばかりが待つこの世に。
キリスト教徒である彼には、そのような概念はないのだが。
もしあるとするのならば。
渡り損ねたのだろう。・・・・・・三途の川を。
聞いてしまった、彼女の声を。
待って。
私も一緒に連れて行って。一人では、きっと寂しいから。
一緒に行こう。
だから、もう少し待っていて
それが、報いなら。この手で人を殺めた、僕への報いなら。
受入れようではないか。未だ生死の境をさまようおまえの為に。
だから、戻っておいで。
聞こえるかい?
愛しているよ、薫。
だから、戻っておいで
* 【藤本県ひとみ市】(管理人:映美さま)への投稿作品でした。 *